753 雑想ランデブー

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スパイダーマンは初代シリーズが最高なんよな、の話

   2020/09/07
 主演トビー・マグワイヤ、キルスティン・ダンスト、監督サム・ライミの初代スパイダーマンシリーズは本当に名作だと思う。特に、1作作目2作目は完璧というほかない。そしてなにより特筆すべきは、両作が上質なヒューマンドラマとして成立している点だ。“ヒーローじゃない”面を丹念に描いているからこそ、スパイダーマンとして生きることを宿命づけられた主人公ピーターの生きづらさ、2つの人生の狭間で葛藤するさまがひしひしと伝わってくる。そしてピーターがずっと片想いを続けるMJ(松本潤ではない)に自分の想いを伝えるシーン(これがまた一筋縄じゃないシチュエーションなので是非映画を観てほしいのだが)、そこの台詞が最高なのだ。
 “when you look in her eyes and she's looking back in yours... everything... feels... not quite normal. Because you feel stronger and weaker at the same time. You feel excited and at the same time, terrified. The truth is... you don't know what you feel except you know what kind of man you want to be. It's as if you've reached the unreachable and you weren't ready for it.”
(彼女を見つめると、彼女に見つめ返され、なんだかすべてが普通じゃないような、不思議な気持ちになる。自分がとても強くなったようで、それでいながら弱くなる。うれしくなり、それでいて怖くなる。正直どんな気持ちかわからないけど、どんな男になりたいかは分かる。まるでムリして手の届かないものに手を伸ばしてる感じだ)
 ヒーローとしてのジレンマすら表現し切るような神業的な台詞…。このシーンが映画のハイライト的に描写されていることからも分かるように、本シリーズはあくまで、ヒーローになってしまった単なる青年の悲喜劇として描かれている。それがアツいのだ。

 

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