753 雑想ランデブー

映画、音楽、考えごと。カルチャーと哲学の実践的記録。でありたい。

「(500)日のサマー」ーー残酷なまでの「運とタイミング」。けどそれに尽きる。

運命の恋を夢見る男の子と、真実の愛なんて信じない女の子の、ビタースウィートな500日ストーリーサマーに恋をした、最低で最高の500日。建築家を夢見つつ、グリーティングカード会社で働くトムは、秘書として入社したサマーに一目惚れしてしまう。意気投合し、いいムードになった二人。トムがサマーに「彼氏はいるの?」と聞くと、サマーの答えはノー。恋愛と友情の間に果てしなく広がるグレーゾーン。人を好きになるって、どうしてこんなに楽しくて切ないんだろう。誰もがまた恋したくなる、二人の(500)日がはじまる!

 

なるほど、これはボーイ・ミーツ・ガールの物語。
恋愛モノらしい人物描写をせずに、淡々と男性目線で描かれる男のバカさ短絡さ単純さ思い込みの強さ。

サマーの人物設定はシーンとして盛り込むというよりはナレーションベースで、逆にサマーの魅力についてはズー・イー・デシャネルの演技で魅せている。
カクテルパーティーで初めて2人がしっかり会話するシーン、彼女はトムの驚きの表情を自分の顔にデフォルメコピーして目を見開いている。こういう部分にサマーの共感性の高さが現れている。
シーンとして盛り込まれた人物描写としては「人気がないからリンゴスターが好き」というのが印象深い。
ただ、「こんな話したのは初めて」というセリフが結局何の伏線にもなっていないように、サマーは本当に何も深い意味のある言葉は発していない。けど嘘も言っていない。
拡大解釈するのはいつも男の方。

主人公のトムが冴えない髪型というのも重要。
アバウト・タイムのティム然り、髪型に頓着しないというのは分かりやすい人物設計。

全ては見方、視点一つでひっくり返る。
トムがサマーの好きだったところを嫌いなところにすり替えるのはまさにその典型。
また、最後に招かれたパーティーでの理想と現実の乖離。虚しいけど、実際にこういう「思った感じと違う」というのは避け難く存在する。
どちらも男性特有の思い込みや皮算用が表現されていて面白い。

改めて感じたのは“serendipity ”(思いがけず出会う幸運)とそれを起こすために必要な3A("Action”“Awareness”“Acceptance”)の大切さ。
どこで何に出会うかわからない。
家に閉じこもってないで行動しよう。

それにしてもズー・イー・デシャネルという人間は本当に魅力的。国籍関係なしに見れば見るほどどんどん好きになっていく。彼女の魅力は普遍的なんじゃないか。
イエスマンをまだ観てない人にはイエスマンを、既に観ている人には海外ドラマ「NEW GIRL」をおすすめ。
ズー・イー・デシャネルがずっと可愛い。