753 雑想ランデブー

お茶と文具と哲学の実践的記録。でありたい。

「パーティで女の子に話しかけるには」ーーパンクとSFの優良ハイブリッド

パンクなのに内気な少年エンは、偶然もぐりこんだパーティで、反抗的な瞳が美しい少女ザンと出会う。大好きなセックス・ピストルズやパンクファッションの話に共感してくれるザンと、たちまち恋におちるエン。だが、ふたりに許された自由時間は48時間。彼女は遠い惑星へと帰らなければならないのだ。大人たちが決めたルールに反発したふたりは、危険で大胆な逃避行に出るのだが―

 

エル・ファニングにこの演技をさせた製作陣、グッジョブすぎる。奇妙な設定なのに、だからこそ現実とのリンクが胸を打つ。シチュエーションSFの醍醐味が味わえる不思議と胸がじんわりとする映画。

 
単純な恋愛モノに飽きてきた人、今までになかったエルファニングの一面が観たい人にオススメ。あとはパンクってなんだろう?って人のパンク入門にも。


説明ゼリフで白けさせない代わりに最後までよく分からない宇宙人設定も“パンクだから”という理由でねじ伏せる強引さ。完成度が低いという見方もできるかもしれないが、個人的にはこれは加点ポイント。映画としての荒さが主人公たちの若さやパンクへの熱望、向こう見ずな部分とリンクして全体として親和性の高い仕上がりになっていると思う。 


エンディングはそこまでひねりなし。悪くはないけどもうひと押し足りないという点で星4。閉鎖的な街に辟易した若者たちのたどり着いた境地としてのパンクを描いた作品でもあるので、大きな展開はないが、それでも退屈しないだけの絵力のあるパンクの世界観。主人公2人の歌唱シーンは必見。


出演者の中で注目はやはりエル・ファニング(ザン)。宇宙人流のルールにうんざりしたザンがパンクに目覚めるシーン、そしてその衣装は1番の見どころ。シビれる。


またセリフとしては、ザンが決して栄えているとは言えない街の夜景を見て、「宝石みたい」と言うセリフが印象的。宇宙人ならではの視点からこの世界を再認識させる演出が随所に。

 
監督はヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のジョン・キャメロン・ミッチェル。総じて音楽と映画の融合が武器の監督。


にしてもタイトルとフライヤーからは内容が予想できない良い意味で裏切られる映画。新しい映像表現が目白押しなので、ちょっと変わった映画を観たいときにおすすめ。