753 雑想ランデブー

映画、音楽、考えごと。カルチャーと哲学の実践的記録。でありたい。

一貫性不要論

   2020/08/31 
 一貫性ってなんだろうとつくづく思う。恋愛がうまくいかないのはいつだって慣性の法則を信じすぎたときだ。この前は好きって言ってくれてたじゃないか!って。私がケアベアを好きだったのは12年も前の話よ?って。だからお互いにとって新鮮で魅力的な状態を保ち続けるような、会うたびに気持ちを更新するような努力が大切であって、実際上手くいってるカップルはそこら辺をなおざりにしてないんだろう。でも、別に好きじゃなくなったっていいわけじゃん。昨日まで好きだったものを今日疎ましくて仕方なく感じることもある。実は慣性の法則に基づいて疑うことを怠っていたのは、相手が自分をまだ好きでいることではなく、自分がまだ相手を好きだという気持ちだったりもする。
 つまり、一貫性なんてものは必要ないってことだ。もし、僕たちが過去に囚われ続けて生きるならば、今日の選択は全て過去によって決定されることになる。それでもまだ僕たちには自由意思があると言えるのか。だからそうじゃない。僕たちはついさっき口走った発言を気持ちよく撤回しながら生きていくことが出来る。過去に囚われず前に進むことが出来る。だからこれからがこれまでを決めることが出来る。だからこそこの瞬間の選択ひとつひとつを自らの手で頭で選んでいくことに何事にも代え難い尊さが宿るのだ。さればこそ、今日もあなたが好きです。その一言が嬉しくて嬉しくて仕方ないのだ。明日も良い日になりますようにと祈りたくなるのだ。古きを温ね新しきを知ることが重要なのだ。こうやってついつい熱く語りたくなってしまうほどに、僕たちのそれぞれの瞬間が自らの選択で手繰り寄せる美しい未来への可能性で煌々と輝いているのだ、って、思わないとやってらんないじゃん?人生ゲームのオープンカーのハンドルを他人に握らせてたまるかって。あんな簡単に乗ってる人落ちちゃうのに。

 

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