753 雑想ランデブー

映画、音楽、考えごと。カルチャーと哲学の実践的記録。でありたい。

ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語があまりにも感動的で今年のマイベストムービーになりそう

“強い魂”

 

んん…!!
シアーシャ・ローナン&グレタ・ガーウィグの再タッグが、「レディ・バード」超えの傑作を生み出した…!!
今年の個人的No.1映画になる気がする…。

 

物語は現在と7年前を行き来しながら進む形になっていて、観る側は4姉妹たちが過去と現実とのギャップに対して折り合いをつけていく様子をシアーシャ・ローナン演じる次女・ジョーの視点から繊細に体験する。

 

この過去と現在の交錯がめちゃめちゃすごい。すごいし、上手い。
過去の記憶は、いわば“少女時代”の象徴として描かれていて、各々の悩みを孕んだ現在の生活とは対照的な印象を与える。これには過去のシーンに暖色系の色調を、現在のシーンには反対に寒色系の色調を使っていることも大きく寄与していて、過去と現在との対称性がより色濃く映し出されている。

 

そんな暖かな記憶の中の4姉妹は“家族愛”の心とそれに裏打ちされた“隣人愛”の精神とを健気に育み合い、貧しくも幸福に暮らしているわけだが、これが、本当に、演技だとは、思えないくらい、上手い。4人とも4姉妹の生まれですか?なんでこの4姉妹のごちゃごちゃとした感じが出せる?別に競い合って演じてる風でもなく、淡々と捲し立て合っている。どのセリフからも「4人でいれば怖くないよね」って聞こえてきそう。

 

その一方で、現在では“女の結婚は経済問題”というセリフに代表されるような、切実な不安や悩みが生まれ始める。そこには郷愁の思いが入り混じっていて、変わりゆく環境の中で過去とのギャップに苦しみながらも、その葛藤は万感のフィナーレへと徐々に解けていく。
過去シーンと現在シーンとの交錯が後半にいくにつれてより緻密になっていくことが観る側に自然とその心の隙間が埋まっていくのを感じさせる演出も上手い。(ただ少し複雑すぎて混乱してしまうかも?)

 

と言いつつも、兎にも角にも、
走るシアーシャ・ローナン。踊るシアーシャ・ローナン。笑うシアーシャ・ローナンシアーシャ・ローナンシアーシャ・ローナン
細かい話抜きでそれだけのために観ても十分なほどの魔力ある演技。すっごいよ。
そんなシアーシャがティモシー・シャラメと口論するシーンはこの映画のハイライトと言っても過言ではない。美と美の衝突はまるで七色の火花が弾けるよう。

 

ありふれた時間が愛しく思えたら
それは愛の仕業