753 雑想ランデブー

映画、音楽、考えごと。カルチャーと哲学の実践的記録。でありたい。

マあちゃんの春

  2020/09/03
最近、ママの方のばあちゃん、つまりマあちゃんが週一回デイケアに通うようになった。毎週色んなことをするらしい。カラオケ大会とか、習字とか(習字で書いたやつ見せてもらったけどめちゃくちゃ上手くてびびった)。この前は塗り絵をやったらしい。それで、上半分がお月見のイラストになってる9月のカレンダーに色を塗ったものを、僕にって、わざわざ名前の欄に僕の名前まで書いて、プレゼントしてくれた。俺の名前書いたら俺が塗ったみてえじゃねえかとも一瞬思ったが、見事な配色と塗りっぷり。むしろ自分でやりましたと豪語しても恥ずかしくない出来栄えだ。特に、9月は21日と22日が祝日なので、そこの数字だけ赤で塗ってあって細部へのこだわりと気配りを感じさせる。この点はセンターの人たちにも褒められたらしい。嗚呼、優しい世界。
 こういうのを、バカにするのは簡単だ。バカでもできるという意味ではまあそうなのかもしれないけど。どうあれ、いい歳して塗り絵?(笑)と思う人は、実際、いるだろう。ただ、覚えておかなければ。今僕たちがバカみたいだと一笑に付した未来は、いずれ僕たちにやってくる未来だということ。それは僕たちが僕たちにかける呪いだということ。そんなこと、することないだろうよ。
 老人が童心に還っていくことを幼児退行と言う人もいるが、それは間違いだと思う。還暦という言葉を解けば、月日が一巡りして、元の場所に戻っていくことを意味する。そうやって四季が一巡りすると、やがて春に還ってくる。それは温もりの季節。みんなはしゃいで楽しくて、心が小躍りする季節。また戻ってきたいと思える季節。若さや知性が全てなんて、あまりにも冷たいじゃんかと思う。そこはきっと冬で、なら今はきっと秋。深まる夜長月。春よ、まだ見ぬ春。迷い立ち止まるとき、夢をくれし君の眼差しが肩を抱く。

 

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